広島に原爆が投下された際に爆心地近くの民家にあった「被爆ピアノ」の演奏会が19日夜、大阪市天王寺区の四天王寺境内で開かれ、被爆者の主婦津村紀子さん(67)=大阪市=が、原爆症で亡くなった母が好きだった「エリーゼのために」を約50年ぶりに披露した。
津村さんは4歳の時、広島で被爆。祖父は外出先から戻らず、母田鶴枝さんは原爆症によるがんで25年前に亡くなった。
9歳の誕生日に買ってもらったピアノは、母と娘を支える懸け橋だった。入退院を繰り返す田鶴枝さんの支えはクラシック音楽。「ノリちゃん、弾いて」。母が病院から時々帰宅すると、小、中学生だった津村さんは一生懸命演奏した。
演奏されるピアノは1932年に製造。爆心地から約1・8キロの民家で被爆、2005年に再生され全国で演奏会が開かれている。
津村さんは、奏者募集を知り、真っ先に手を挙げた。「被爆した同じ境遇のピアノに母への感謝の気持ちを込めたい」と話している。
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