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文化・芸能 サザンオールスターズのデビュー30周年記念ライブ「真夏の大感謝祭」(8月16、17、23、24日、横浜・日産スタジアム)が終わった。同スタジアムでの4日間公演は史上初。5月の無期限活動休止宣言を受け、解散説などさまざまな憶測が飛び交っただけに、彼らの肉声を聴こうと新旧ファンが万感の思いで集った。連日7万人を動員したメモリアルライブの最終日の様子を報告する。

運営スタッフは総勢2千人。会場周辺には1千人の警備態勢が敷かれた。折からの大雨で新幹線、東海道線などの交通が乱れたものの、ライブは定刻の午後六時、プロサッカー選手の三浦知良の開会宣言で幕を開けた。

 虹のアーチと鶴の羽をあしらった巨大ステージに現れたリーダーでボーカルの桑田佳祐(52)は、和柄を効かせたアロハシャツに赤いジョギングパンツ、赤いかんざし姿。「(ライブの)コンセプトはいつもと同じサザン。今日は長くやるから座ってくれ。おれも年とったし、メタボにやさしいライブやりましょ」と笑いを誘い、「みなさんの30年分の愛をください。しばらく会えなくなるのでまぶたの裏にびしっと焼き付けてもらいたいと思いま~す」とちゃめっ気たっぷりに語りかけた。

 前半は「青山通りから鎌倉まで」と題した「古い曲」メドレー。一九七八年から八五年までのアルバム収録曲を中心に21曲。ジャズやブルース、歌謡曲やエスニック音楽など、さまざまな要素を取り込んだ豊かなバンドサウンドを年代順にたっぷり聴かせた。

 ドラムの松田弘をフィーチャーした「松田の子守唄」にはひときわ温かい拍手も。キーボードの原由子は「そんなヒロシに騙されて」で、2人の子を育て上げても変わらない、初々しい歌声を響かせた。

 日もとっぷり暮れ、雨脚が少し弱まったころ、大画面にヨコハマの風景が浮かび上がる。海からとらえた、みなとみらい、マリンタワー、氷川丸、ベイブリッジ…。多くの歌に散りばめられた景色が映し出され、「メリケン情緒は涙のカラー」へ続く。前半戦は夏の終わりにぴったりのバラード「メロディ」で締めた。

 中盤は、シングル中心のヒットメドレー。途中、アリーナ席の後方にしつらえたサブステージに移動。カートでアリーナを一周し、雨に打たれるファンの声援に応える場面も。デビュー記念日となった6月25日からオフィシャルサイトで募集し、今回の選曲の参考にしたという「LIVEで見たい曲リクエスト」のベスト50も発表された。

 1位「真夏の果実」、2位「希望の轍」、3位「いとしのエリー」。上位曲の演奏には、観衆の歌声がひときわ大きく重なる。サザンを生んだ茅ケ崎の光景も、波音とともに大画面を飾った。

地元に預けた「屋号」/新しい時代に再会を約束

 8月24日午後8時45分―。アンコールで再登場したサザンオールスターズのメンバーを、スタンド席の観客がつくった人文字「WE ARE SAS FAMILY」が迎えた。

 クライマックスは記念すべきデビュー曲「勝手にシンドバッド」。ド派手な演出でスタジアムは熱狂の渦に。頭上を銀色のテープが舞い、ステージ上空に花火が弧を描く。バーン。曲の終わりを告げる最後の一発が、それまでの興奮を一気に闇へ連れ去った。

 平静を取り戻した観衆に、「すてきな雨だなぁと思って、すごく感動してます」。桑田佳祐が、感慨深げに語る。「終わっちゃうなぁという気持ちと、これでやっと終われるのかなという気持ちが私の中で相半ばしている」と複雑な胸中もみせた。

 そして、あらためて会場を埋めた7万人のファンと再会を約束。最後にもう一曲だけと、「YaYa(あの時代(とき)を忘れない)」をささげた。

 サザンのライブ史上最多となる全46曲。3時間を超えるステージを終えたメンバーがフロントに並び深々と頭を下げた。「雨の中を盛り上げてくれてありがとう」。涙声の原由子の隣で、桑田がマイクを握った。

 「サザンとしてやれることはやった。このままみんなに甘えていると明日が来なくなる。だから、地元の皆さんや仲間にサザンの屋号をいったん預けたいと思います。いつかサザンとして会える日まで預かっていてちょーだい! それまで幸せでいてください。みんな死ぬなよ。ありがとう」

 大画面に映し出された「つづく」の文字を背に、メンバーはステージを去った。

 ♪ ♪ ♪

 汗と涙と雨にまみれたメモリアルライブ。桑田は一曲、一曲を実にていねいに歌い上げ、トップランナーとして走り続けてきた王者の風格を感じさせた。感謝の言葉を繰り返し、活動休止が「通過点」であることを強調した。無期限活動休止宣言が周囲にもたらした動揺や、憶測にことのほか心を痛めていたと関係者はいう。

 桑田はこの日、「ここには30年前に生まれていなかった人もいる」と時の流れをかみしめ、「新しい時代がきて、自信を持って聞かせられる作品ができたらまた戻ってくる」とも言った。「時代は必ず拓(ひら)ける」と自身に言い聞かせているかのようでもあった。それが1年後なのか10年後なのかは誰にも分からない。これまでの活動休止と一線を画し、「無期限」と発表した真意はそこにあるのではないか。

 ならば、サザンから得た思い出を胸に再会の日を待つ―。それが屋号を預かった我々の役目なのかもしれない。(高田久美子)

 

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